主な検査方法

ミエログラフィー(脊髄造影)

目的
 背骨の病気で神経が圧迫された結果、痛み・しびれ・麻痺などの症状が出ている場合に、その原因になっている神経の状態を詳細に見て、
今後の治療・手術の部位・方法を決める参考にするための検査です。
方法
 点滴を行います。体位は側臥位で、腰・背中を曲げてえびのような姿勢になります。針の刺入部を中心に消毒をします。腰の後ろから針を
刺し、神経が通っている硬膜管内に造影剤を注入します。頭を下げて足を上げるなどの操作で、造影剤を目的の部位へ移動させたのち、X線写真とCTを撮ります。
使用薬剤
●ヨード剤(イソビスト240)
副作用
●腰椎の硬膜に針を刺しますので、この針穴から硬膜の中にある脊髄液がもれます。検査後1日は安静臥床をして下さい。
 臥床していないと頭痛が生じます。頭痛が生じた時には治るのは長くて10日間かかります。静かに寝ていれば早く治ります。
●ヨード剤による発疹や、大変まれですが薬物性ショックが生じることがあります。
 これまでにヨード剤を使用して副作用を経験した人は申し出て下さい。
【正面像】
L4/5椎間で脊髄の描出が悪い画像。
椎間板ヘルニアによるものと考えられる。
【側面像】
後方より針が刺入され、造影剤が注入された画像。
L4/5椎間で脊髄が後方へ圧迫されている。

ディスコグラフィー(椎間板造影)

目的
 腰痛や下肢痛などの症状の原因になっている椎間板の状態を詳細に見て、今後の治療・手術の部位・方法を決める参考にするためです。
方法
 点滴を行います。体位は側臥位で、腰・背中をやや曲げた姿勢になります。術者の得手不得手で少し前に倒して45度斜位になることもあります。針の刺入部を中心に消毒します。X線透視をしながら腰の横後ろから針を刺し、椎間板に造影剤を注入します。治療を目的にしている場合には椎間板内に薬物を追加注入します。X線撮影後、CTを撮影します。
使用薬剤
●ヨード剤(イソビスト240)
●ステロイド剤
●麻酔剤
副作用
●ヨード剤に過敏の人は発疹や不快感、時にショックになることがあります。
●まれにキシロカイン麻酔剤でショックになる人やステロイドの影響でしゃっくりが続く方がいます。
●ごく稀ですが、細菌に感染し化膿性の椎間板炎、椎体炎を併発することもあります。この時には抗生剤の注射が必要です。
【正面像】
針が刺入され、造影剤が注入された画像。
【側面像】
椎間板が造影され、観察することができる画像。

選択的神経根造影・ブロック

目的
 症状の原因になっていると考えられる神経根の周囲に造影剤や薬物を注入して、その神経根が臀部痛や下肢痛の原因かどうか確認するため、および神経根の状態を詳細に見て今後の治療・手術の部位・方法を決める参考にするための検査です。治療の目的で神経の周りに局所麻酔剤とステロイドホルモンなどの薬物を注入する場合があります。
方法
 点滴を行います。体位は側臥位あるいは腹臥位になります。針の刺入部を中心に消毒します。X線透視をしながら腰に針を刺し、神経根の周囲に造影剤を注入します。神経を刺激するためにやや痛みを伴います。治療を目的にしている場合には、神経根の周囲に薬物を追加注入します。レントゲン写真(CT)を撮ります。
使用薬剤
●ヨード剤(イソビスト240)
●ステロイド剤
●麻酔剤
副作用
●ヨード剤で皮膚の発疹や時にはショックに陥る人もいます。
 それぞれ別の薬剤で対応しますが、これまでに副作用を経験した人は申し出て下さい。
●まれにキシロカイン麻酔剤でショックになる人やステロイドの影響でしゃっくりが続く方がいます。
左S1神経根が造影されている画像

仙骨裂孔ブロック・硬膜外ブロック

目的
 症状の原因になっている神経の周囲に薬剤を浸潤させて疼痛を軽減させるために行います。
方法
 点滴を行います。体位は腹臥位あるいは側臥位で、側臥位の場合は腰・背中を曲げた姿勢になります。針の刺入部(臀裂下部)を中心に消毒します。腰の後ろから針を刺し、硬膜外腔に薬剤を注入します。注射後は15分程度、横になったままでいてもらいます。
使用薬剤
●局所麻酔剤
●少量のステロイド剤(副腎皮質ホルモン剤)
副作用
●一時的に血圧が下がることがあります。
●麻酔剤を入れますので、一時的に神経が軽く麻痺することもあります。
●まれにキシロカイン麻酔剤でショックになる人やステロイドの影響でしゃっくりが続く方がいます。

                        硬膜外に造影剤が注入された画像

椎間関節注射

目的
 椎間関節から痛みが生じているかどうか確認する方法です。
方法
 痛い方の腰を上にして横に寝ます(側臥位)。少し前に倒し45度傾けます。こうするとレントゲン透視で関節のすきまが見えます。皮膚に局所麻酔剤を少量注射し針をこのすきまに直接刺し込みます。関節内に造影剤を注射します。関節を造影し関節内に確実に薬剤が入ったかどうかを確認します。続いて麻酔剤をいれます。この麻酔剤で腰痛や殿部痛がとれるかみます。最後に効果が持続するようにステロイドを入れます。
使用薬剤
●ヨード剤(イソビスト240)
●局所麻酔剤
●ステロイド剤(副腎皮質ホルモン剤)
副作用
●針の刺入の痛みとヨード剤の発疹やショック等の過敏症です。
●まれにキシロカイン麻酔剤でショックになる人やステロイドの影響でしゃっくりが続く方がいます。
椎間関節に造影剤が注入された画像