脊椎・脊髄

 治療はブロック注射や投薬、リハビリによる保存的治療(手術以外の治療法)で症状が軽くなる場合が多い病気には、患者様と御家族に治療方針を説明した上で、保存的治療をまず受けていただきます。期待どおりに症状が軽減しない場合や、社会的な状況から治療に時間を割けない場合には手術に移行することになります。
 症状が進行することが明らかな病気や、現在すでに日常生活動作が障害されている場合には手術をお勧めします。病気ごとに、手術の内容と危険性、手術で得られる効果を説明した文書、ビデオを用意してありますので、その文書に基づいて説明します。
 脊椎の病気の多くは年齢によって生じる病気です。これらの病気の特徴は、じっとしていればさほどの苦痛を感じませんが、いざ活動しようとすると痛み・シビレ感などがひどくなり、その結果活動性を奪ういます。そのために、からだの筋肉、特に下肢の筋力が弱くなり、歩行能力が低下します。糖尿病や高血圧などの、運動を必要とする内科の病気に立ち向かうことが困難になり、からだが衰えます。この悪循環を断ち切る方法が手術です。
 手術の危険性は二つに分けられます。手術を受ける部位の危険性と、麻酔や手術の侵襲などによる全身の危険性です。手術を受ける部位の危険性は、その手術に慣れた医師や施設を選ぶことにより低くすることができます。全身の危険性は、高血圧や心臓の病気などの循環器疾患、糖尿病などを普段から運動などを通じてコントロールしておき、いざという時に備えておくことで低くすることができます。これらのことから、脊椎脊髄の病気のために歩行能力がすでに低下している場合や、確実に進行しつつある場合は、背骨の手術をお勧めする大きなポイントになります。
 手術方法はできる限り、からだへの影響が少ない方法(最小侵襲手術MIS:Minimally invasive surgery)を採用しています。手術用の顕微鏡などを積極的に利用して、手術の規模を小さくするように努めています。
 からだの中で背骨が果たす役割は二つあります。脳から全身にはりめぐらされた神経の入れ物としての機能と、からだを支える機能です。神経の入れ物としての機能が損なわれた場合には神経の除圧手術が必要になります。他方、からだを支える機能が損なわれた場合には、からだを支える機能を再建する手術が必要になります。これらの両方を使い分けて手術を行っています。

対象疾患
  • 腰部脊柱管狭窄症
  • 腰椎分離症・腰椎すべり症
  • 腰椎椎間板ヘルニア
  • 脊柱側弯症
  • 中高齢者の脊柱後弯症
  • 脊椎圧迫骨折後の変形
  • 頚椎椎間板ヘルニア
  • 頚椎症性脊髄症・頚椎症性神経根症
  • 後縦靱帯骨化症・黄色靱帯骨化症
  • 脊髄腫瘍
  • リウマチ性脊椎疾患
主な検査方法
主な治療方法

手術内容別実績

  平成27年度 平成28年度 平成29年度 平成30年度
椎間板摘出術 48件 48件 53件 45件
椎弓形成術 63件 73件 90件 92件
脊椎固定術 78件 67件 45件 58件