リハビリテーション科

リハビリテーション科の紹介
 患者様と理学療法士が1対1となり、患者様一人一人に合った治療プログラムを立案し、筋肉のstretchingや筋力強化訓練などを行っています。
 対象疾患は、五十肩や腰痛などの慢性疾患から、各種骨折における手術後、および保存療法例、アキレス腱断裂やACL損傷などの軟部組織損傷術後例、椎間板ヘルニアなどの脊椎手術例など、幅広い症例に対応しています。
 手術後は原則、1日目より運動療法を開始し、歩行能力および関節可動域の改善・維持に努めています。ギプス固定下においても、医師と理学療法士の協議のもと、一部を開窓させることで、余計な関節拘縮を作らない様、柔軟性維持に努めています。
 また、五ケ丘整形外科リハビリテーションクリニックにおいては、上記疾患の他に、投球障害肩および肘、オスグット病、シンスプリントなどのスポーツ障害に対する運動療法にも力を入れており、投球フォーム指導やインソール(中敷き)の作成なども行っております。詳しくは五ケ丘整形外科リハビリテーションクリニックのホームページをご覧ください。

運動療法の適応疾患

肩関節
●肩関節周囲炎 ●肩関節拘縮 ●肩関節脱臼 ●変形性肩関節症 ●腱板損傷 ●腱板断裂 
上腕骨近位端骨折 ●肩関節脱臼骨折 ●野球肩
肘関節
●変形性肘関節症 ●肘関節拘縮 ●肘頭骨折 ●上腕骨顆上骨折 ●肘関節脱臼骨折 ●野球肘
手関節・指
●手関節拘縮 ●橈骨遠位端骨折 ●手根菅症候群 
●手指関節拘縮 ●手指屈筋、伸筋腱断裂 ●指骨骨折
股関節
●変形性股関節症 ●股関節拘縮 ●大腿骨頭壊死 
人工股関節全置換術(THA) ●人工骨頭置換術(BHA) ●寛骨臼回転骨切り術(RAO) 
大腿骨頚部骨折 ●股関節インピンジメント症候群 ●股関節唇損傷
膝関節
●変形性膝関節症 ●膝関節拘縮 ●人工膝関節全置換術(TKA) 
●膝前十字靭帯損傷 ●半月板損傷 ●脛骨骨幹部骨折 ●脛骨高原骨折 ●膝内障
脊椎
●仙腸関節症 ●腰椎椎間板ヘルニア ●腰椎症 ●腰椎分離症 ●頸椎症性脊椎症
足関節
●足関節拘縮 ●アキレス腱断裂 ●果部骨折 ●踵骨骨折 ●前距腓靭帯損傷

運動療法例

腱板損傷
 腱板とは、棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋の肩の奥にある4つの筋肉のことを言います。肩関節はこれらの小さな筋肉によって安定し動いていますが、加齢による変性や、肩を挙げる際の骨との衝突、転倒・事故等の外傷など様々な原因によって、これらの筋肉が傷ついてしまう状態を腱板損傷といいます。初期のレントゲンでは異常がないことが多くMRI検査や超音波検査が必要になります。症状が進行し損傷部分が大きくなると肩が挙がらなくなり、場合によっては手術が必要になることもあります。運動療法では、損傷していない腱板筋力の改善や、肩甲骨周囲の柔軟性・筋力を改善して症状の改善を図ります。肩の痛みがある方、肩が挙がらない方には、受診をお勧めします。
腱板収縮訓練 肩甲帯リラクセーション
手指腱の断裂後
 事故などにより手や指の腱が断裂してしまった状態です。腱が断裂しているため筋肉からの力が伝達されず、手や指を自分の力で動かすことはできません。治療は手術治療が多く選ばれます。手術では断裂した腱を縫い合わせ、再び手や指を自分の力で動かせるようにします。腱は一度断裂してしまうと、正常な状態まで回復するのに縫い合わせから約8週必要なため、手術後早期に無理な動きをしてしまうと、腱の再断裂を起こす危険が高いです。しかし、安静にしすぎてしまうと術後の炎症による腫れや痛みが原因となり、手や指の関節が固まって動かなくなってしまいます(関節拘縮)。そのため、運動療法では早い時期から安静や包帯による痛みの抑制や、腫れ取りを徹底します。また関節運動としては、断裂した腱にストレスが加わらないように、再断裂しないように筋肉を緩ませた状態での運動が必要となります。その後は、経過を見ながら徐々に加える力を強め、最終的には積極的なストレッチング、筋力トレーニングを行い、日常生活で不便の無いようにします。

<プロトコール>
手術—浮腫管理—再断裂のリスクを考慮した可動域訓練—積極的な可動域訓練
浮腫管理 指を伸ばす筋のストレッチ 指を曲げる筋のストレッチ
人工股関節全置換術(THA)
 人工股関節全置換術(Total Hip Arthroplasty:THA)は、変形性股関節症や大腿骨頭壊死症などの股関節に痛みが出る疾患に対して行われるスタンダードな手術方法です。この手術は、非常に優れた除痛効果があり、関節の変形によってもたらされた股関節の動きの悪さを改善することが可能です。手術後に日常生活への早期復帰をするためには、手術によって傷ついた組織の修復を考慮し、適切なタイミングで適切な運動療法を行うことが不可欠です。
 当院の入院期間は3~4週間となりますが、これは一般的な入院期間と比較して長い期間です。それは、患者さんを第一に考え、退院後も安心して生活をできるようにするためです。運動療法では、早い時期から積極的に理学療法士が介入し、硬くなった筋肉のストレッチや筋力強化練習や有酸素運動を行い、靴下の着脱や階段昇降をはじめとした日常生活動作を行います。
 服薬や運動療法などの保存療法のみでは股関節の痛みが減らず動きも悪くなってきてしまった方には受診をお勧めします。
外転収縮運動 伸展可動域の拡大
寛骨臼回転骨切り術(RAO:Rotational Acetabular Osteotomy)
 日本で「変形性股関節症」と診断されるうち、その約8割は寛骨臼形成不全をはじめとする先天的な疾患に続発して発症すると言われています。股関節の変形が進行し疼痛が増悪すると、最終的には人工股関節へ移行せざるを得ない状態となってしまいますが、股関節の変形が初期の段階であれば、人工関節ではなく寛骨臼回転骨切り術(RAO)によって、自身の骨で関節を温存することが可能となります。
 寛骨臼回転骨切り術(RAO)とは、主に生まれつき股関節の被りが浅い(寛骨臼形成不全)方に適応とされ、骨盤をくり抜いて骨頭の被りを深くして安定させる手術です。この手術の目的は、症状の緩和とともに股関節症の進行を遅らせることです。当院では20〜40代の方が多く受けられています。術後早期は十分なリスク管理を行いながら、股関節の動きを改善して、筋力トレーニングをする事で、歩行や日常生活に必要な股関節の機能を目指していきます。荷重開始後は状態に合わせて徐々に運動負荷をあげていきます。日常生活で股関節に痛みや違和感を感じる場合は早期の受診をお勧めします。

<プロトコル> 
手術-術後2週間は免荷・車椅子-術後2週から荷重練習開始
-術後4週〜6週で両松葉杖歩行練習開始(荷重20kg〜30kg)
-荷重が体重の2/3以上可能で片松葉杖歩行練習開始-術後約2ヶ月退院
屈曲可動域訓練 松葉杖での荷重練習
人工膝関節全置換術(TKA)
 人工膝関節全置換術(Total Knee Arthroplasty :TKA)は、変形性膝関節症やリウマチなどによる痛みや変形を生じている膝関節に対し、すり減った軟骨や傷んだ骨を人工関節に入れ替える手術です。術後は痛みなく歩くことができ、退院時には段差や階段の上り降りもスムースに行えるようになります。
 手術では膝関節周囲の組織を傷つけるため、手術直後は腫れて、膝の曲げ伸ばしがしづらく、力も入りにくくなります。そのため術後に運動療法が必要になります。当院では傷つけた組織が治る過程に合わせ、腫れが出ないように管理をしながら、膝の曲げ伸ばしがスムースになるように膝周りを柔らかくし、トレーニングをすることで力が入りやすくなります。退院後ご自宅での生活や仕事が問題なく行えるよう、患者様ひとりひとりに合わせた運動療法を提供しております。

<プロトコル>
手術前評価-手術-術後翌日(立位や歩行訓練)―手術後1週(歩行器歩行)
-手術後2週(杖歩行)-手術後3週(階段昇降練習時)-手術後4週(退院)
屈曲可動域訓練(筋のストレッチング) 階段昇降練習
半月板損傷
 半月板とは、膝関節への荷重に対してクッションの役割をしている組織です。これが傷つくと膝の曲げ伸ばしの際に痛みやひっかかりを感じたりします。ひどい場合には、膝に水が溜まったり、急に膝が動かなくなる「ロッキング」といった現象が起こり、歩けなくなるほど痛みを伴うことがあります。スポーツなどによって起こる場合と加齢によって起こる場合があり、スポーツではひねり動作や衝撃が原因となることが多く、40歳以上になると加齢による半月板損傷が起こりやすくなると言われています。
 症状が改善しない場合は関節鏡を用いた鏡視下手術が行われ、損傷した半月板を切り取る手術(切除術)と縫い合わせる手術(縫合術)があります。

<プロトコル>
保存療法:来院時評価→運動療法開始→症状改善→運動療法終了
手術療法:術後評価→荷重・可動域制限の中で運動療法開始→徐々に制限解除
     →症状改善→運動療法終了
膝蓋骨の可動域改善 腫れ除去のための運動
アキレス腱断裂
 アキレス腱とは足首の後ろにある腱で、ふくらはぎの真ん中から踵にかけてあります。アキレス腱断裂とはアキレス腱が切れた状態を言います。主にスポーツ活動中に生じるとされており、ダッシュやジャンプ、切り返しの動作で生じることが多いとされています。主な症状として、つま先立ちができなくなることで、アキレス腱の部分にへこみができ、ふくらはぎをつまんだ際に足首が動かなくなります。アキレス腱断裂の治療は手術を行わずギプスや装具を用いた保存的治療と、断裂したアキレス腱を縫い合わせる観血的治療があります。どちらの治療法を選択するかは整形外科医とよく相談していただくことが大切です。
 運動療法はアキレス腱の再断裂を防ぐために腱の治癒過程を考慮しながら行います。そして下半身の筋肉が衰えないように低負荷のトレーニングから始めていき、片足でのつま先立ちができるようにしていきます。
 手術療法の場合、全力で運動ができるようになるのは約6ヶ月以降となります。保存療法の場合は、整形外科医とよく相談して運動復帰を決めていただきます。
段階的な筋力増強運動 背屈可動域可動域訓練
骨折総論
 骨折の治療は骨が付く事が最優先となります。治療方法は骨折の程度により、手術療法と保存療法に分けられますが、いずれも運動療法が大切になります。ギプス固定中は関節が動かなくなったり(関節拘縮)や、筋肉の萎縮(筋力低下)が起きやすいため、それを最小限にする運動が必要となります。ギプス固定中は患部(骨折部)を動かすことができないため、周囲の筋肉のストレッチングや患部外の運動を行っていきます。
 ギプス固定が外れてからは、関節可動域訓練や筋力トレーニングを開始し、機能の回復を図ります。骨癒合に関しては医師の指示のもとレントゲン写真により判断し、運動療法の強度を段階的に変更していきます。
振り子運動(肩の骨折の場合) ギプス固定中の運動例